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ガンや肉腫など悪性腫瘍をはじめとした腫瘍が体を蝕んでくると、「悪液質」という状態になってしまうことを経験されたことがある方はわかりやすいと思いますが、この「悪液質」というのは簡単にいえば「食べても食べても痩せてくる」という状態で、具合が悪いことや、腫瘍による痛み、内臓の圧迫などにより食欲が落ちたりする以外に腫瘍によって体内では代謝の変化がおこっていることもその一因です。
正常動物では、炭水化物(糖)が摂取されると好気的代謝(酸素を利用した代謝)により48ATP(48エネルギーとでも理解して下さい)が産生されます。
ガンに侵された動物では、代謝系が変化し、嫌気的代謝(酸素を使わない代謝)が多く行なわれるようになり、通常よりかなり少ない3ATP(3エネルギー)と残りは乳酸となって蓄積していきます。あの筋肉痛のもとと言われる乳酸です。この蓄積した乳酸によって体内は酸性に傾いていきますし、この乳酸をさらに違う代謝系の作用で、糖に戻そうとする働きが起こります。その糖に戻す働きに4ATPを使ってしまいます。要するに3エネルギー作って4エネルギー使ってしまうので-1のエネルギー損失が起こってしまうのです。これを続けることにより「どんどん痩せてくる」という状態になってしまいますから、パンやごはんなどの炭水化物はなるべくひかえるべきです。
それでは肉をはじめとしたタンパク質はどうかというとこれも「腫瘍のエサ」になり、腫瘍を大きくする結果にもつながります。またタンパク質は代謝により窒素性の老廃物が生成されるため、肝臓や腎臓にも負担をかけることとなります。
では脂肪はどうかというと、腫瘍細胞は脂肪をエネルギー源として利用できないと言われています。ですから脂肪分を主体とした食事を与えることで腫瘍細胞を「兵糧攻め」することが可能です。ただ、脂肪であればなんでも良いかというわけではありません。脂肪には大きく分けて2種類のものがあります。ひとつは植物性の油に含まれるオメガ6と呼ばれる脂肪と、もうひとつは魚に多く含まれるオメガ3と呼ばれる脂肪があります。
植物油に含まれるオメガ6は炎症を起こす物質の前駆物質ともいわれ、また腫瘍の転移を助長するともいわれています。
魚の脂に含まれるオメガ3は、抗炎症作用があり、血小板の固まるのを防ぎ、腫瘍細胞が転移するのを防ぐと言われています。また免疫作用を増強し腫瘍を攻撃する態勢を整えてくれます。さらに抗ガン剤に対する反応を増強すると言われています。現在ではこの抗炎症作用により皮膚病の動物に対しても多く処方されています。
またタンパク質のような窒素性の老廃物を残すことなく、二酸化炭素と水に分解されるきれいなエネルギー源と言えます。
以上のことから考えますと「末期ガンだから好きなものを与えたい」という飼い主の気持ちも分かりますが、動物の生命の質、いうなれば「どれだけ楽に過ごさせてあげられるか」ということを考えれば
(1)サバやマグロなどの脂の多い海の魚を中心にする。
(2)適度のタンパク質と炭水化物を与える。
(3)好きだからといってパンやごはんを多く与えない
ということを守ってあげましょう。
処方食としては
サイエンスダイエット n/d
ユーカヌバ 栄養アシスト
などが製品として処方されます。
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