一種徹底飼育講座(2)

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一種徹底飼育講座

サトウチョウ

サトウチョウ

漢字で書くと「砂糖鳥」。甘い果物を主食にしていることからつけられた和名。英語では「青い頭のぶらさがりインコ」という、寝る時や休む時にコウモリのようにぶらさがって寝る習性と青い頭の色からきている。
メスは頭の藍色が小さく、首の鮮赤色がみられないことから容易に判別できる。ゴシキセイガイインコも原色で派手だけどサトウチョウは配色は少ないけど色のはっきりした出方はゴシキにひけはとるまい。
餌は、果物食性鳥用の飼料が市販されているので、それをふやかし、桃、リンゴ、バナナ、ブドウ、柿などの果物を主食にカラツキの混合餌を与える。ミルワームなどの昆虫も時に与える。
寒さに弱いので20℃以下にはあまりさらさないようにした方がよいでしょう。ヒヨコ電球を設置し、25℃位にしておき、掃除の時に日光浴をさせてあげましょう。
果物食の鳥は、軟便(便が柔らかい)で、カゴが汚れやすいので、こまめに掃除しましょう。
果物を食べやすいようにくちばしが他のインコより尖って長いので、異常にみえますが心配ありません。

アヒル

アヒル

入手方法

ペットショップでの入手は、4~6月になると大きなペットショップにて売られています。¥1,000から¥3,000位。アヒルは孵化後10日までは、おしり(総排泄腔)でオスメスの選別が可能ですが、それ以降は声変わりと羽の生えそろうのを待たなければなりません。売られている状況で印が付いている場合があるので確認しましょう。アヒルは丈夫ですが、とても汚す動物です。安易に飼育をすることはお勧めできません。
雌雄判別:オスは気管の左右分岐部に「鳴管」という膨らみがあり、かすれた「くわぁー」という声になります。住宅地やマンションでの飼育には♂の方が声がうるさくありません。腰の部分の脂腺の近くの羽毛がカールすること、白いアヒルではくちばしと足の色が橙色になることでも判別できます。
メスは、鳴管が存在しないため「ガーガー」と太く大きな声で鳴きます。くちばしと足の色が黄色になること生後半年~1年位で産卵をはじめることで判別できます。

飼育施設

ひよこの時:ひよこの時期は体温を維持する能力が低いので、エアコンやヒヨコ電球、小さいポリ容器を利用して25℃前後に保温し、水槽やウサギ用のゲージ、りんご箱(いまどきないけど)に入れて飼育します。ただし、水鳥であるがゆえにすぐに水浸しになってしまうのでダンボールではすぐにダメになってしまいますし、密閉してしまうと蒸れてしまうので注意が必要です。飼育箱の底には新聞紙を敷き、汚れたり、濡れたりしたらこまめに交換します。
成アヒル:飼育施設は最低でも1畳ほどは確保してあげたいところ。できれば庭で放し飼いか、大きな鳥小屋を作ってあげましょう。床はとても重要で、コンクリートやレンガ、玉砂利などは不向きで、沼などに生息している鴨なのでできれば土や泥が理想的ですが、掃除の面で難しい部分があるので、平らな床面にダンボールやお風呂用マット、稲ワラなど状況に応じて工夫しましょう。当院では、ダンボールが一番良いという結果になりました。野外飼育の場合、いくら水鳥といっても雨ざらしというのも良くないので、雨がしのげるよう飼育場の半分程度は屋根をつけてあげましょう。

市販のニワトリ用配合飼料を利用します。農協ではユリマッシュ、ホームセンターやペットショップで愛玩鶏用配合飼料として販売されている穀類と魚粉、カキ殼、ビタミン類が配合された粉っぽい飼料を与えます。ひよこの時は、手でひとつかみ(約60g)を水でとき、チンゲン菜やサラダ菜、ハコベなどの青菜を混ぜて1日3回与えます。まだお腹が空いているようなら野菜のみを適宜与えます。生後一年までにあまり急激に成長させると骨や関節が体重を支えきれず、関節障害を起こしてしまう危険性が高いので、特にペキン種および近縁種(白いアヒル)は肉用種として改良されたものなので急激に増体してしまうのが宿命なので飼い主が体重管理をしてあげなければなりません。
成アヒルでは、配合飼料ふたつかみを1日2回=240g与えます。あとは個体の状況をみて野菜でかさ増しして空腹を満たしてあげましょう。
アヒルは本来草食性の鳥であるからドッグフードやキャットフード、刺身などはあげないようにしてください。
これらの餌はたしかによく食べますが、味がいいため配合飼料を食べなくなってしまうばかりか、肥満や動物性蛋白質の過剰摂取により、痛風になってしまう危険性があります。
アヒルに与える野菜は、チンゲン菜や小松菜、ハコベなどの緑黄色野菜を与えるようにし、スイカやレタス、キャベツなど水分含量が多く、栄養素に乏しい野菜は与えても意味がないことを認識しておいてください。(実際は、レタスやスイカなどシャキシャキ感のある野菜の方が好む傾向がある。)
おやつとして金魚やドジョウを時々与えるのはかまいませんが、海産魚であるアジやじゃこ、ニボシなどは与えない方がよいでしょう。

水浴び

ひよこのうちは防水能力と体温維持がうまくできないので水浴びはやめましょう。足が浸る位(水深2cm)なら天気の良い時に限りやらせてあげてもよいでしょう。生後3週~1ヶ月ほどして産毛から親の羽に生え変わる時期になったら池や幼児用のプール、ベビーバス、衣装ケースなどを使って水浴びをさせます。水場は常設する必要はありません。水浴びの時は羽をバタつかせたり、潜ったりして周りがビショビショになるのでベランダや庭でやらせないと後で泣きをみるので注意。
水浴びには、寒い季節でも必ず水を使うこと。温水にすると羽の脂が取れてしまいかえってずぶ濡れになって体調を崩す可能性があります。時間は30分程度。なれると「出してくれぃ。」と合図してくるのが分かってきます。水浴び場に自由に出入りできない場合や足が悪い個体の場合、水鳥であるアヒルも溺れてしまうので注意すること。
水浴び後は、自分で羽の水を切り、腰部にある黄色くベタッとしている「尾腺」という羽の防水ワックスを分泌する器官から脂を出し羽に塗りつけるのでタオルで拭いたりする必要はありません。水に入れるとずぶ濡れになってしまう個体は足の障害があってうまくバランスがとれず羽にうまく脂が濡れていないのでよく観察しましょう。

繁殖

アヒルはハーレムを形成するので、多数羽飼育する場合は♂1羽に♀3・4羽が理想的です。オスが多いと権力闘争と複数の♂に襲われるメスが衰弱やケガをする可能性が高くなるためです。
産卵は生後半年から1年のうちにはじまり、夜中の2時頃行われるのが一般的です。最初から数回までの産卵の時は真夜中に鳴き続ける傾向が強いので近所迷惑にならないよう注意が必要です。1回の交尾で10~20個の受精卵を産卵することが可能で、28日で孵化します。アヒルは就巣能力が衰えているため、初めの1週間ほどは抱卵することもありますが、途中でやめてしまうことが多いので、ニワトリによる仮母や孵卵器による孵化に頼るのが一般的です。ただし、アヒルは水鳥であるがために孵卵にはやや高湿度にする必要がありますし、ニワトリを仮母とする場合にはニワトリの卵と一緒に抱卵させるとニワトリの方が先に孵化してしまうこと、体形や大きさが違うことから仮母がいじめたり育児放棄をすることがあるので注意が必要です。産卵は1日1個6日産んで1日休みと言う傾向があり品種や餌、環境によってかなり左右されます。冬期や換羽期、調子の悪い時には産卵が休止されるので健康管理のバロメーターとして観察しておきましょう。アヒルではそれほど多くはないが、卵殻の薄い軟卵を生むようであれば餌の中のカルシウム量の不足や日光浴不足が原因となることが多いので注意しましょう。

病気

アヒルは丈夫で病気をすることはほとんどありません。その多くは管理失誼による関節炎や硬い床どこに起因する細菌感染からの足底の趾瘤症、冬期の呼吸器疾患、野良犬やタヌキ、アライグマによる咬傷が多くみられます。餌内のカビに対する感受性がニワトリに比べて高いし、さらに夏場に高湿度や濡れることにより餌は傷みやすくなるのでカビの毒素による中毒が起こりやすいので夏場の餌の管理には十分注意が必要です。

サンショウウオ、サラマンダー

春になると半透明なバナナ状の国産のサンショウウオの卵塊が熱帯魚店などで購入できます。トウキョウサンショウウオやカスミサンショウウオが多くみられる種類です。サンショウウオは、両生類で幼生の時は水中でエラ呼吸をし、変態後肺呼吸となり陸上生活に移行します。

卵塊は、幼生のもとである胚の周囲に寒天のような、鶏の卵でいう白身の部分があり、さらにそれらがまとまってバナナ状の卵塊となったものです。購入した時期にもよりますが、丸っこい胚が日々細長くなって幼生の形に変わってきて孵化します。その卵塊の中には未受精卵なのか他の胚は日々変化しているのに一向に形の変わらない胚がみられることがあり、死胚であることがありますが、気にせずにおきましょう。それだけ出そうとして正常胚にまで悪影響が出てしまってもよくないので卵塊は放っておきます。

胚がいわゆる孵化する状態まで成長してくると幼生は酵素を出して勝手に出てきますので、その時までいじらずに放置しておきましょう。まれに卵塊の袋から出られない個体もいるので他の幼生が孵化しているのに卵塊内にのこっている個体はそっと出してあげましょう。水中で卵塊の袋をそっと持ち上げるとするっとでてきます。

孵化直後の幼生はしばらくお腹の卵黄を吸収しているため三日位は餌を与える必要はないので、そのまま放っておきます。

サンショウウオは幼生期も成体となっても動くものにしか餌としての反応を示しません。水中生活をする幼生期はイトミミズが便利です。幼生は動くものは「パクリ」といってしまうので小さい固体から共食いされて、だんだん数が減ってきてしまいますので、できるだけ一匹ずつ小分けにして飼育した方がいいでしょう。ただでさえ少なくなってきている日本の自然動物です。卵塊から孵った幼生をすべて飼おうと欲張らずに友達に分けてあげましょう。共食いで減ってしまっては何にもなりません。

水換えは、週一回を目安に汚れたら行います。その際に強い水流で水を注入すると水中に空胞が溶け込み、それを飲み込んだ幼生が腸内の空胞の影響で浮かんでしまい下手をすると排泄ができないまま沈まず、餌が取れず死んでしまうことがあるので十分注意します。普通はしばらくすると自力で排泄されるようです。

しばらく飼育していくとまず前足が生えてきます。続いて後ろあし。やっとサンショウウオらしくなってきます。

できれば水中にマツモやカナダモなどの水草を入れてあげましょう。幼生の時期になるべく大きくしておくと成体になってからの管理が楽になるので水を汚し過ぎない程度にこまめに餌を与えましょう。

孵化時期と気候、種類により異なりますが、五月から八月になるとだんだんエラが短くなってきて成体へと変態をはじめます。この時期エラ呼吸から肺呼吸へと移行する重要な時期なので気づかずにいると溺死させてしまうので発砲スチロールの小片を登りやすいように工夫して水面に浮かべ陸地を作っておいたり、園芸用のミズゴケを湿らせて陸地を作り溺死予防をしておきます。

変態が完了した個体は園芸用ミズゴケを湿らせたものを入れたプラケースでの飼育が便利です。この時気をつけねばならないのは「脱走」。サンショウウオやイモリの成体は壁面を難なく登り脱走してしまい、見つけた時には「ミイラ」になっているので十分注意し蓋をしっかりしておきましょう。サンショウウオなどの有尾類やカエルは乾燥と高温に弱いのでミズゴケが常に湿っているよう気をつけましょう。変態後陸上生活になったサンショウウオは、流木や素焼きの植木鉢の破片を湿ったミズゴケの上に配し、シェルター(隠れ家)としておくとほとんどその下に隠れています。餌を飼育槽内に撒くとシェルターから出てきて採食します。幼生の時に述べたが、動くものにしか食いつかないので生餌を与えるか餌をピンセットでつまんでプルプル顔の前で動かし、「餌付け」をしなければなりません。餌付けばとってもかわいいけど手間がかかるのでライフスタイルにあわせて選択してください。変態直後の幼体にはイトミミズやコオロギのゴマ粒大のもの、ショウジョウバエなど与えねばならないので幼生が変態しそうになったら入手経路を確認しておいた方が無難です。

サンショウウオの飼育は、高温・乾燥・餓死さえ気をつければそれほど難しくありません。逆に手がかからな過ぎてうっかり忘れてしまって乾燥死というのが多いでしょう。餌は大きさに合わせ、コオロギの小さいものから与えていくのが便利だとおもいます。

夏場の暑さ対策として涼しいところにおくというのはもちろん先に「素焼きの鉢をシェルターに」というのがキーワード。これは気化熱といって水が蒸発する時に熱を奪うという作用があり、多少飼育槽内の温度が下がるというものです。

大型のサラマンダーの飼育もこれに準ずが、大きい分なんでも食べるので栄養補正程度にピンクマウスを与えますが、あくまでたまに与える程度に留めないと肥満します。また、大きな個体は蓋を開けただけで反射的に餌が入ってくることを覚えるのでかわいいけど間違って咬まれないように注意。

また、体表に弱い毒がある種類もあるのでさわったら手をあらいましょう。

魚(日本産淡水魚、淡水性熱帯魚)基礎編

新しく魚を買ってきた時の注意は、当ホームページの「ペットを飼い始めたら」の「爬虫類編」を参照してください。

まず日本産淡水魚、簡単にいえば日本の河川で採取された川魚の飼育についてですが、基本的には淡水性熱帯魚と考え方はたいして変わりありません。

ただ日本産淡水魚に関しては多くの場合ヒーターなどの保温器具を使用せず、室温飼育されることが多いので、日中と夜の温度差の激しい季節では体力の消耗により、白点病などの病気が発生しやすいのと、夏場の高水温に弱い種類が多いことを念頭においておかなければなりません。特に、渓流や湧水域に生息しているハヤやマスの仲間、トゲウオの仲間は、水槽用のクーラーを使用し、15℃以下に保っておいた方がよいでしょう。

ここからは大抵の魚飼育に共通している基礎的な話。

底砂

潜る習性のある魚では細かいものを使用しますが、基本的には大磯砂が安価で川らしくていいのではないでしょうか。一部に大小の石をまとめて配置しておくと隠れ家にもなるし、より自然に近い状態になり格好良く飼えると思います。ここで注意しなければならないのは、砂の種類によってpHに影響を与えることがあることです。多くの淡水魚は中性から弱酸性の水質に生息しているので、サンゴ砂など水質をアルカリ性にしてしまう砂はシクリッドの仲間など一部のものに限りますので、よく本などで適正な水質を調べておきましょう。
砂粒の大きさについてはある程度好みでかまいませんが、水草を植えたり、底面ろ過装置を使用したりする場合など飼育設備にあわせてよく吟味しましょう。

ろ過装置

上部ろ過装置:水槽の上部にろ過材や活性炭などのゴミ取りとろ過バクテリアによる老廃物を分解する装置で掃除が楽なのが特徴。配管がちょっと邪魔。
底面ろ過装置:水槽の底部にろ過槽をつくり底砂がそのままゴミ取り、生物ろ過の場所となります。ろ過層が砂の下となるので外見はさっぱりしているし、ろ過機能が比較的高いが、掃除となると全掃除となってしまうので少し面倒かも。筆者は一番好んで使う。
外部ろ過装置:外部に設置したろ過槽に送水してゴミ取り、生物ろ過を行うもので、水草を多く植えた水槽に好んで用いられる。装置が比較的効果なことと、ゴミ取り能力が低いので、メインろ過槽としては疑問あり。掃除も面倒。
投げ込み式ろ過装置:いわゆるブクブクと接続させた小型ろ過装置で、安価で掃除も楽ではあるが、外見上美しくない。また、ろ過機能も弱い。小数の魚を飼う場合や小型水槽向き。
外掛け式ろ過装置:小型水槽や少数飼育に使われる小型のろ過装置で掃除がとても簡単。適度な流れも作られわりとよさげだが、水位が低下するとすぐ止まるし、規格が合わない水槽には使えないので、不精なヒトや前からある水槽に使おうとする場合は水槽の枠にはまらないことが多いので注意。

水換え

ろ過装置をしっかり設置していてもどうして水質の悪化や魚の排泄物による水質の酸性化が起こってくるため定期的に水換えをしなければなりません。水換えに勝るろ過はないという位重要なので怠けずに行いましょう。
基本的には「水質と温度の急変を避ける」ということを念頭においていきなり水の総入れ換えなどは行わないように気をつけましょう。やり方は、サイフォンの原理を利用した水換えポンプを利用すると便利です。排泄物や水草の枯れたものなどが底に沈んでいるので底面の砂を軽く混ぜながら給水すると綺麗になります。全水量の1/3~1/2の量を新しい水と入れ替えます。できればカルキ抜きをした、温度が同じ位の水を抜いた分だけ足します。
この時、水槽から抜いた古い水は捨てずにバケツにとって置いてください。この水でろ過槽内のマットやろ過材を洗います。マットは新しいものと交換してしまった方がいいかもしれません。ろ過材を水道水で洗ってしまうとせっかく定着した「ろ過細菌(硝化細菌という:魚の排泄するフンやアンモニアを無毒の硝酸塩に変化させる作用をもつ)」を殺してしまうので、硝化細菌に負担をかけないよう飼育水で洗浄するわけです。

水の補給

乾燥する時期などは、特に水槽内の水が急速に蒸発してしまいます。あまり水量が減ってしまうとろ過装置のモーターに負担をかけ、壊れてしまうので減った分だけ水を注ぎ足します。この際の水は水道水でかまいません。