鳥類/その他小動物[症例]

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症例紹介~鳥類、その他小動物編

ここでは、セキセイインコや文鳥、オカメインコなどの鳥類とハムスター、ウサギ、フェレット以外のエキゾチック動物を中心に症例を紹介いたします。
旧ホームページからの移行過程で写真の紛失や、設定ミスで実際のものと異なることもあるかもしれませんが、適宜修正いたしますのでご了承ください。

セキセイインコの卵詰まり

セキセイインコの卵詰まり

セキセイインコの腹壁ヘルニアを伴った蓄卵材症

セキセイインコの腹壁ヘルニアを伴った蓄卵材症

セキセイインコ。メス。2才
ケージの下でうずくまっていて、気づいたら腹部が腫れていたので卵詰まりかと疑い来院されました。
視診により、腹部の膨大が見られ、皮膚が黄白色化しており黄色腫に状態を呈していたが、腹腔内には卵のような硬い塊はなかったので腹部ヘルニアを疑い、レントゲン検査を行った。
レントゲン検査においても明らかに卵殻を形成した卵は見当たらないが、背中側に白い石灰化物質が見られる。
全身麻酔下で腹部腫瘤を切開すると腫大した卵管が確認され、内部に液体が貯留しているのが確認できたため、注射器で吸引してみると白濁した液体が採取されました。液体を抜いてみると一部硬結した部分が触知されたので、卵管部分を切開してみると卵殻膜の折りたたまれたものが内包されていた。おそらく過去に無卵殻卵が形成されていて、その遺残物なのであろう。メスの中高年のセキセイインコには比較的多く、遭遇する疾患です。

モルモット

モルモット

オカメインコの消化管内異物

オカメインコの消化管内異物

オカメインコ 3才 メス
嘔吐と下痢をしていて食欲がないとのことで来院。
レントゲン検査をすると背中の骨盤に近い部分の腸管に勾玉上の白い塊がられた。
左写真上の青→緑↑は筋(砂肝)内のグリッド塊
消化管内の異物と考えられたが、元気は割とあったため、しばらくは注射による内科的治療と流動食の強制給餌による経過観察としていたが、嘔吐はなくなったものの、4日程経過しても食欲がなく、だんだん元気がなくなってきたためバリウム造影による腸閉塞の是非の確認をし、バリウムの通過遅延が考えられたため、飼い主に摘出手術をすすめて異物摘出を実施した。この時全身状態の把握のため血液検査を実施したところ、肝機能障害が認められた。
全身麻酔下で腹部を切開し、小腸群を避けると大腸に金属光沢のある湾曲した塊が認められた。(写真左)
摘出した金属光沢の異物。はじめ鉛の塊かと思ったがレントゲン上でも金属のようには見えず、また摘出物の比重も軽いことから、鉛ではないようだ。摘出した金属様物を削ったり、折ってみると内部は鱗片状に固まり結果になりました。

スナネズミの卵巣腫瘍

スナネズミの卵巣腫瘍

スナネズミ 2才 メス
数日前に腹部が腫れて、太ったように思うとのことで来院。
視診にて陰部からの出血痕が認められたこと、比較的体腔の比較的前部(膀胱の腫大ではない)に腫れものが存在することから、卵巣・子宮疾患を疑いレントゲン検査を行ったが、液体成分の貯留は認められたが、臓器の特定がしがたかったので全身麻酔下で試験的開腹を行った。
上の写真は麻酔をして腹部の毛刈りをする前の状態。注意して見ると腹部が樽のように膨らんでいるのがわかる。
下の写真は腹膜切開をして赤黒い塊を腹腔外に露出した状態。写真ではわかりにくいが、腫瘤の根元部分に白い子宮が連なっている。実際摘出した腫瘤はスナネズミの頭部以上の大きさがあった。

チンチラの腸閉塞

チンチラの腸閉塞

5才のチンチラ オス
1週間前から食欲がないとのことで来院。触診では中程度に痩せており腸管内にはガスが溜まっており胃も大きく腫れていました。飼い主はモコモコした毛で気づいていなかったようです。
バリウムによる造影検査では胃から下にバリウムの陰影が落ちることがなく、胃内もしくは十二指腸内の異物を疑い、開腹手術を飼い主にすすめました。
胃内にはバリウム液が充満していたものの閉塞を起こすような塊は見つからず、順次下部消化管に移行しながら探していくと十二指腸の部分に写真のような固形物が見つかりました。
腸管を切開し、内容物を摘出しました。2番目の写真は閉塞していた腸の部分ですが、白くなっている部分が腸管が長い間異物により圧迫されていたことにより化膿性の炎症を起こしているところです。
3枚目、4枚目は別個体。このようにチンチラもウサギ同様毛球症も見られることから時々毛球落としの投与をしてあげた方がよいですね。
下の写真は摘出した毛球と崩して中を確かめたもの。

セキセイインコのそのう石

セキセイインコのそのう石

セキセイインコ メス 2才
足をかばっているとのことで他院にて上診されていましたが、よくならないとのことで来院。
診察をすると外傷性の足の捻挫か卵巣腫大による一過性の脚麻痺と仮診断し、触診をしていると?!そのう部分に錠剤程度の固い塊を確認したので足の件もあることからレントゲン検査を行った。
レントゲン写真でもそのう部分に丸い白い塊が写っている。緑→。
青→は翼とすねの部分の卵巣ホルモン反応性の所見が認められた。
全身麻酔下でそのう内の結石を摘出した。写真ではわかりにくいが、新聞広告紙をかじり飲んで固まったような紙繊維が主体になっていた。

デグーの臼歯過長

デグーの臼歯過長

デグー。オス
外見はスナネズミに似ているがチンチラに近い種類。
餌をあまり食べなくなり、歯ぎしりをするとのことで来院。
全身麻酔下で口腔内を診てみると左下の一番前の臼歯が過長していた。

シマリスのリンパ腫

シマリスのリンパ腫

7才のシマリス。メス
斜頚(頚をかしげた状態)になったとのことでらいいん。毛並みも悪く立毛が見られ、全身状態の悪化が認められた。
腹部の触診で脾臓と思われる腫瘤が認められたことからレントゲン検査で確認後、全身麻酔下で摘出手術を行った。
摘出した脾臓を病理検査してみると「アミロイド変性を伴ったリンパ腫」であった。この個体には多数のダニの感染が見られ、脾臓においてもそれを反映したように髄外造血も認められていたようだ。

シマリスの:毛球症

シマリスの:毛球症

シマリス 5才
下痢が続いているとのことで来院。腹腔内に親指頭大の腫瘤が触知された。レントゲン検査においても白い塊になっているのがわかる。実は他院にて上診されており、塊が何か判別がつかず経過観察を指示されていたようですが、何とかしてあげたいとのことで来院されました。
レントゲンから判断すると白い楕円形の塊の中にさらに白い粒子が混在し、腸管内のガスと思われる黒い抜けた像が観察されました。年齢的に判断すると卵巣や子宮系の腹腔内の腫瘍があり、腸管と癒着しているのではないかと考え「試験的開腹」を飼い主にすすめたところ快諾されたので麻酔下で開腹した上で状態を確認し対処することとなりました。
開腹してみると腫大した大腸内に大きな塊がふたつ入っており、他に腫瘍や腸管癒着も見られなかったことから腸管を切開し、塊を摘出しました。
腸内の塊は体毛もしくは布線維の固まったものでその異物をどうにか排泄しようと腸管が過剰に動きだしていたことが原因で下痢が続いていたようです。

モルモットのカイセン症

モルモットのカイセン症

モルモット オス
数ヶ月前から皮膚がフケだらけになり、ゴワゴワに分厚くなり、非常に痒がるとのことで来院。
はじめホルモン疾患や細菌性の皮膚炎も疑われたが、フケの顕微鏡検査において、疥癬ダニ(穿孔ヒゼンダニ)が検出されたことから疥癬症の治療のため、殺ダニ剤の注射、外用および細菌の二次感染を抑えるため抗生物質の投与を行った。
エサがラビットフードであったため、ビタミンCの絶対量が不足していることから、関節炎も併発しており、後肢のひきづり症状も認められたため、モルモットフードへの変更とビタミンCの含有が多いピーマンや果物を与えることを指導しました。

シマリスの骨折

シマリスの骨折

7シマリス。5才
おそらくカゴの中でケージに挟まって皮膚裂傷および後肢の指を骨折していた。
麻酔下で整復手術を行った。

セキセイインコの腹壁ヘルニア

セキセイインコの腹壁ヘルニア

セキセイインコ メス 3才
半年前より腹部が腫れてきたとのことで来院。
腹壁ヘルニアと診断し、様子を見ていたが、だんだん大きくなってきたので整復手術を行うこととなった。
腹壁ヘルニアはセキセイインコに多く見られる疾患で特にメスで多く、産卵時の過剰な腹圧により腹筋が裂け、その部分から腸管や卵管が皮下に突出する疾患です。そのため通常の排便や産卵が困難となりやすく、注意が必要です。特に発情して産卵がはじまってしまうと卵詰まりになりやすいため問題となります。
程度によりますが、早期の手術の方が癒着も少なくリスクも少ないと思われます。
今回は開腹手術により皮下に脱出している腸管を陥納するため腸内に蓄積されている糞便を腸切開により掻きだし腸管容積を縮めた上で陥納しました。
残念ながら今回は手術中の脱出した腸管の写真はありません。今度機会があったらのせます。

シマリスの腸管壁における多発性腫瘍

シマリスの腸管壁における多発性腫瘍

シマリス 5才 オス
一週間ほど前から腹部が腫れてきたとのことで来院。
触診において胃の拡張が確認され、レントゲン検査においても食欲がないにもかかわらず胃内に多量の食さが貯留していたため、試験的開腹による病態の把握とそれに基づく対処のため開腹手術を行うこととした。
腹壁を開けると胃は充満しており、小腸以下には多数の結節性の腫瘤が認められた。一時的な対応は否めないが、拡張した胃内の食さをできるだけ摘出し胃の負担を軽くさせて閉腹した。腸管壁の腫瘍は多発性であったため全摘出は不可能であったため摘出は断念した。が、細胞診だけは行うことにした。
細胞診ではリンパ腫であった。
結果から考察すると胃の拡張は腸管壁の腫瘍により、腸管の狭窄が起こり食べたものがスムーズに消化排泄されないことによるものであった。

文鳥の尾腺腫

文鳥の尾腺腫

文鳥に比較的多く見られる病気です。鳥は背中の部分に尾腺という脂を分泌する器官があります。ここから分泌される脂を羽に塗りつけることにより、防水加工を行い水に濡れることを防いでいます。
腫瘍性のものと、化膿性のものが見られます。
全身麻酔下で、腫れている部分を切開し、カサブタ状に固まった化膿巣を掻き出し、腫れている部分も一部切除しました。

モルモットの乳腺腫瘍

モルモットの乳腺腫瘍

モルモット イングリッシュ種 メス 2才
軟便をするとのことで来院。この子は普段より軟便傾向があり、時に腸管内にガスが貯まることが多い。
診察時、左乳腺下に梅の実大の腫れものを触知したため摘出手術を行った。
前回同じ家のモルモットの別個体でも乳腺癌の摘出手術を行っているのだが、その子は乳腺より赤黒い血様液が流出し続けていたため、数日間、抗生物質と止血剤の注射投与を行っていたが、改善が見られないため、摘出手術を行った。この個体は乳頭下に垂直に腫れ物が触知されていたので乳腺由来の疾患であることが疑われており、病理検査においても「乳腺癌」であった。
今回の個体の場合、前回のものよりしっかりとした「腫れ物」であり、即決で摘出手術を行った。

ミニブタの膣脱

ミニブタの膣脱

8ヶ月のミニブタ。メス
半月前から陰部から腸のような赤いものが出ているとのことで来院。陰部からは膣が脱出しており、時間が経過していることから粘膜面も擦り傷や糜爛を生じておりうっ血して腫大していた。
開腹による脱出部位の整復および避妊手術をすすめたが、飼い主の希望でなるべく低料金でとのことだったので、とりあえず脱出膣を陥納し、陰門を閉鎖する簡易処置を麻酔下にて実施した。3日ほど出入りを繰り返していたものの、次第に脱出もなくなり、入院中は再発が見られなかったものの、帰宅後数日で再脱出し、さらに子宮脱にまで移行してしまったため、開腹による整復、卵巣子宮全摘出を行った。
術後の経過は良好で再脱出や、開腹創面の化膿など問題なく経過しました。

プレーリードッグののう胞腎

プレーリードッグののう胞腎

6才のプレーリードッグ。メス
夏ごろから食欲がないとのことで来院。
触診により腹腔内に腫瘤が触知されたため、レントゲン検査により腹部の肝臓の後ろ側に大きな腫瘤が認められた。
血液検査においても肝臓の数値が顕著に増加していた。腎機能は問題なかった。
前回の肝腫瘍同様、試験的開腹により腫瘤の癒着などの有無を確認するため開腹手術を行った。
開腹すると腹膜下に子どもの拳大の腫瘤が確認され、癒着はしていない独立した塊であったため摘出手術を行った。肝臓にも水玉状の転移巣が確認された。
摘出した腫瘤は腫大した腎臓で摘出後切開を入れると中はふたつの部屋に分かれており中に液体が溜まっていた。